サラリーマンをブラック企業から守るブログ

現役社畜の社労士試験合格者が、社畜仲間を守るために書いてます。

有給休暇の理由を聞く会社

こんにちは、うつわたです。

 

今日のテーマは、

 

『有給休暇の理由を聞いてくる会社』

 

です。

 

これは、かなり多くのサラリーマンが類似の経験をしたことがあるのではないでしょうか?

 

有給を申請しようと上司のもとに行ったら、

 

『何?有給?どこいくの?』

 

『えっ、えっと…北海道に…』

 

『彼女とデート?そんな理由で休むのか…?』

 

ハイ、そもそもセクハラの域でもありますが、これは明確にダメなやつです。

 

 

結論から言えば、有給休暇の取得に、理由は要りません。

 

有給休暇は、労働基準法39条に規定されており、

 

「雇入れの日から6カ月間継続勤務し、その間の全労働日の8割以上出勤した場合、1年ごとに、最低10日を付与しなければならない」とされています。

 

法律で定められているものなので、 

 

『うちの会社には有給休暇はない!』

 

というのは通りません。

 

有給休暇は、労働者に与えられた権利なのです。

 

 

そして、理由。

 

権利ですので、理由は要りません。

 

労働者が時期を指定し請求したら、会社は取得させる義務があります。

 

例えば

 

デートだから、ダメ!

繁忙期に旅行なんてありえないから、ダメ!

ベテランのAさんが取得してないのにお前が取得するのはダメ!

 

なんてことは通りません。

 

上司は、部下に有給休暇の取得理由は聞いてはいけませんし、部下は上司に有給休暇の理由を話す必要もありません。

 

届出書の理由欄は、堂々と空欄で提出しましょう。その欄は、生理休暇や介護休暇などの、理由の明示が必要な休暇の取得時のためにありますので、心配はいりません。

 

万一、しつこく理由を聞かれたり、聞き出した理由によって不可と判断され、有給を取得できなかった場合は、会社の所在地を管轄する『労働基準監督署』に相談に行きましょう。

 

いつ、誰に、どのような流れで取得を拒まれたか、明確にわかるようなメモやメール等の証拠資料を持参してください。

 

相談した監督官が違法性を認識した場合、労働基準監督署から会社に指導が入りますので、会社側は慌てるはずです。

 

 

 

さて、ここまで基本的な有給休暇についての話をしてきましたが、実は有給休暇の取得については、

 

時季変更権

『計画的付与』

 

などの例外的な決まりもあり、なかなかどうして一筋縄ではいかないパターンもあります。

 

時季変更権』は、会社側が、労働者から有給休暇を請求された時季から他の時季にその付与を変更できる権利です。

 

例えば、スタッフが3人しかいないお店で、3人が同じ日に有給休暇を取得した場合、お店を開けることができません。

 

この場合、有給を取ろうとしたAさんに、

『悪いんだけど、この日出てくれる?』というのは、会社側の時季変更権として認められる可能性が高いです。


但し、この時季変更権は、労働者が請求した時季に年次有給休暇を与えることが正常な事業運営を妨げる場合に限ってのみ認められています。

 

その認定条件は厳しく、本当にどうにもならない!というレベルでなければなりません。

 

例えば、

 

スタッフがいなくても店長さえいればどうにかなる

他の店からヘルプ人員を借りればなんとかなる

 

という場合は、時季変更権は認められない可能性が高いです。

 

泣き寝入りする前に、会社に、代替手段は全て検討したのかを聞いてみてください。

 

また、

 

計画的付与とは、事業主があらかじめ休日を指定し、その日を有給休暇として付与する方法です。

 

年次有給休暇の計画的付与の対象は、付与日数のうち5日を除いた残りの日数です。

 

毎年夏休みとして、数日間強制的に有給で休みを取らされる!という会社は、この計画的付与をしているケースです。

 

但し、計画的付与の導入は「就業規則への明記」と「労使協定の締結」が必要です。

 

これらがないのに、勝手に有給で夏休みを取らされるのは違法ですので、今一度就業規則と労使協定をチェックしてみてください。

 

 

 

今日も一人でも多くのサラリーマンが救われますように!