サラリーマンをブラック企業から守るブログ

現役社畜の社労士試験合格者が、社畜仲間を守るために書いてます。

有給休暇をちょっとずつ与えようとする企業

こんにちは、うつわたです。

 

本日は、

 

『有給休暇をちょっとずつ分けて付与しようとしてくる企業』

 

についてです。

(注:2019年に施行された、有給休暇の計画的付与についての話ではありません。)

 

 

これは、無いようでいて、たまにあるケースです。

例によって具体例で解説しましょう。

 

うつわたが数年前、転職活躍をしている際に、内定を獲得した企業から渡された『労働条件通知書』には、こう書いてありました。

 

年次有給休暇は、入社から半年後に5日、更に半年後に5日を与える』

 

ん?

 

何だか正しいようでいて、何かがおかしい…。

 

さて、何が問題なのでしょう?

 

 

そもそも、年次有給休暇については、労働基準法で以下のとおり定められています。

 

年次有給休暇の付与要件】

 

1:雇い入れの日から6カ月継続勤務している
2:全労働日の8割以上の出勤をしている

 

上記の2つの要件を満たす場合、

以下のとおりの日数を付与すること↓↓

 

年次有給休暇の付与日数
勤続年数     付与日数
0.5年       10日
1.5年       11日
2.5年       12日
3.5年       14日
4.5年       16日
5.5年       18日
6.5年以上     20日

 

 

つまり、入社から半年経過した際に、全労働日の8割以上の出勤をしていれば、10日の有給休暇が付与されるのです。

 

(パートなど、週の勤務日数や労働時間が少ない雇用形態の場合は、また別の表により付与日数が決まります。)

 

しかし、うつわたが受け取った労働条件通知書には、

 

『入社から半年後に5日、更に半年後に5日を与える』

 

と書かれています。

 

一年経てば、合計10日の有給休暇が付与されるんだから、問題ないんじゃない?

 

と思われるかもしれませんが、

これは、

 

『労働者側にとって、労働基準法で定める基準よりも不利な条件』

 

になりますので、無効です。

 

労働基準法で定められているのは、

『最低限の基準』であって、

 

それより更に労働者にとって不利な内容の契約は、できないことになっています。

 

これがもし、

 

年次有給休暇は、入社時に10日を付与する』

 

であれば、労働基準法で定める基準よりも労働者にとって有利であるため、有効な契約となります。

 

6ヶ月継続勤務の要件も、

8割以上出勤の要件もないからです。

 

企業の中には、単なる無知でこうした契約を盛り込んでくるところの他に、俺様がルールだ!とばかりに労働基準法を全く無視した労働者にとって不利な内容を、労働条件通知書に盛り込んでくるブラック企業もあります。

 

大切なのは、

 

労働基準法よりも労働者にとって有利な内容はOK、不利な内容はNG。』

 

あれ?この契約内容、おかしくない?というときには、その内容が、労働基準法のどの部分に当たるのかを確認してみるのも大事です。

 

 

今日も一人でも多くのサラリーマンが、救われますように!